会長 挨拶・御礼
日本脳腫瘍学会 第2回脳腫瘍支持療法研究学術集会の御礼
参加者各位
謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
去る2024年9月29日(日)に慶應義塾大学三田キャンパスにて開催いたしました第2回脳腫瘍支持療法研究学術集会は、300名を超える皆様にご参加いただき、盛会のうちに無事終了いたしました。多大なるご支援を賜り、誠にありがとうございました。
今回は「多職種チーム医療の実践~その人らしさを大切に~」をテーマに掲げました。私の専門であるリハビリテーション医療では、従来より多職種チーム医療を実践してまいりました。医師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、義肢装具士、看護師、栄養士、臨床心理士、医療ソーシャルワーカー等がリハビリテーションチームを構成し診療にあたります。がんの支持療法(サポーティブケア)においても、同様に多職種連携が不可欠です。また、患者さんが最期までその人らしく、尊厳を持って生活できるよう支援すること。具体的には、介護不要の期間をできる限り維持し、「自立的」な生活を送り、病状の進行に伴い介護が必要となった際にも「自律的」な生活を可能にすること。これこそが支持療法の要諦であり、本テーマを選定した所以です。
ご参加いただいた多くの方々が、所属機関から多職種でチームとして参加され、患者さんのQOL向上を目指した多職種チーム医療やACPの実践に関する企画(レクチャー2本、シンポジウム3本、スポンサードセミナー2本)や一般演題(口演21演題、ポスター30演題)をご発表くださいました。素晴らしいご発表をいただいた演者の皆様、セッションを取りまとめてくださった座長の皆様、そして熱心にご聴講いただき、活発なディスカッションにご参加くださった皆様に、心より御礼申し上げます。
本学術集会が、皆様の日々の臨床業務や研究活動のお役に少しでも貢献できましたら、主催者といたしましてこの上ない幸せです。
末筆ながら、会員の皆様のますますのご健勝とご活躍を祈念いたしますとともに、今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
謹白
日本脳腫瘍学会 第2回脳腫瘍支持療法研究学術集会
会長 辻󠄀 哲也
(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
会長挨拶
日本脳腫瘍学会 第2回脳腫瘍支持療法研究学術集会
会長 辻󠄀 哲也
(慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室)
日本脳腫瘍学会は、脳腫瘍に関する基礎・臨床研究の推進、普及に貢献し、社会福祉の増進に寄与することを目的として、2002 年に創設されました。学術集会では、悪性脳腫瘍の遺伝子解析やバイオロジーなどの基礎研究や新規治療薬の開発について、参加者約500人が合宿形式で朝から深夜まで議論が行われますが、脳腫瘍患者さん・ご家族を含めた介護者の心の問題や支持療法(サポーティブケア)について議論する時間は十分とはいえません。
悪性脳腫瘍の患者さんは、身体的麻痺や失語・意識障害が進行する可能性があり、治療の早期から様々な支援が必要です。特に膠芽腫などは短期間に病態が悪化するため、精神的なサポートや支持療法の開発が重要と考え、日本脳腫瘍学会の主な会員である脳神経外科医とともに、リハビリテーション科医・精神科医・心療内科医・看護師・研究者など多職種の医療関係者に加え、JBTA 脳腫瘍ネットワークの患者会にも参加をしていただき、2022 年5月に脳腫瘍支持療法委員会が発足しました。同委員会では、脳腫瘍に関わる多職種による診療・研究・教育を通じて、脳腫瘍の患者・介護者の悩み・診療上の問題点を明らかにし、さらには脳腫瘍の患者さんの症状緩和・リハビリテーション・就労支援やACP(Advance Care Planning)の検討を支援し、QOL(Quality of life)を向上させるための支持療法を科学的に確立することを目的としています。
脳腫瘍支持療法委員会では、年に1度、研究会を企画、開催しています。第1回研究会は同委員会の成田委員長が会長を務め、「脳腫瘍患者のニーズとサポート」をテーマに、2023年7月22日に開催しました。300名余りの多職種のメディカルスタッフが参集し、朝から夜まで熱い議論が交わされ、脳腫瘍患者ケアに関して多面的に議論する貴重な機会となりました。
このたび、2024年9月29日に、慶應義塾大学 三田キャンパスにて、第2回脳腫瘍支持療法研究学術集会を開催することとなりました。「多職種チーム医療の実践~その人らしさを大切に」をテーマとして、脳腫瘍の支持・緩和医療に関する様々な基礎・臨床研究や実際の臨床面での課題を取り上げていきたいと考えています。
病院では、患者さんが早く回復するよう、また一日でも、その人らしく過ごせるよう、多職種の医療スタッフがチーム一丸となって診療に励んでいますが、それぞれの職種が異なる学会で発表することがほとんどで、医療者間での学問的な交流・指導は十分とは言えません。本研究会が、脳腫瘍に携わる学際領域の多彩な専門家が全国から集まり、活発な意見交換や議論を交わす場として機能することで、脳腫瘍に関する研究の発展や診療の質の向上の一助となり、脳腫瘍患者さん・ご家族を含む介護者の方の療養生活の質の向上がもたらされることを期待しています。